【本コラム】目的ドリブンの思考法 望月安迪 著

【本コラム】目的ドリブンの思考法 望月安迪 著

目的ドリブンの思考法 望月安迪 著

2, 420円(税込)

著者紹介

望月安迪(1989年生まれ)

飛び級で大阪大学大学院の経営学・金融工学専攻を修了。経営学修士(MBA)。2013年よりデロイトトーマツコンサルティング(DTC)に所属し、経営戦略策定やM&A案件のエキスパートとして活躍。その実績を高く評価され、4年連続でファーム内の最高評価である「Exceptional」を受賞。さらにはシニアマネジメント職まで複数回の年次スキップを経て昇格。監査・保障業務、リスクアドバイザリー、コンサルティング、ファイナンシャルアドバイザリー、税務、法務部門を有するDTCグループ全体を対象とした「ロジカルシンキング」研修講師を担当し、初年度で200名以上の受講生を指導。加えて、DTCのコンサルタントを対象に「ロジカルドキュメンテーション」「仮説検証」といった社内トレーナーにも従事し、新卒・中途入社社員の採用・人材開発にも貢献。


書評

 いきなりの問いかけであるが、皆さんは「目的」と「目標」の違い、または両者の関係を説明できるだろうか。自信のない方や、それらを仕事や生活の中で使いこなす自信・経験のない方にとって、本書はきっと役立つ。「パーパス経営」は、現代においてトレンドと言えるほどに一般的になった。就活におけるグループワークにおいても、企業の理念やパーパスを丁寧に確認することは重要である。それはなぜか。
 

 この本の主張を簡潔にまとめると、

①目的を常に意識の主軸に置く=「目的ドリブン」を実行すれば、仕事は成功する

②目的を頂点として仕事を駆動することが成果創出の原則である

③〈目的-目標-手段〉という三層ピラミッド構造によって成果創出のストーリーが繋がる

④目的を成し遂げるための筋道を編み出すことは戦略的思考そのものである

というものである。

 就活生にとって「イシュードリブンでプロジェクトを進める」「仮説思考で考える」という思考法には馴染みがあるものの、「イシューをどう定義するか」「どのように仮説を導けばよいか」といった肝心の手法については未だ充分に描かれておらず、曖昧にしか語られていない。本書では、イシューも、仮説も、「目的」がなければ立てることはできないと主張する。

 目的を起点とした思考体系により全ての「問題設定」と「問題解決」の質を高めようとすることで、問題設定の最上流である「イシュー」と問題解決の第一手である「仮説」に対してアプローチし、その質を高めることを目指す。問題設定および問題解決の全ての局面、全ての作業に「狙い」「効果」「意義」をもたらすものこそが「目的」である。

 本書では、「目的とはなんであるか」だけでなく、その設定の仕方、さらには目的-目標-手段の三層ピラミッドへの落とし方、実行場面により踏み込んだ仕事における「5つの基本動作」に言及し、思考と行動を突き動かす「型」を示している。

 ケース面接やジョブの通過を目指す方はもちろん、日常生活の中で何かを達成しようと計画を立て努力をする人、所属する団体の活動をより生産的・戦略的に進めたい人にとってヒントを与えてくれる書籍である。