【本コラム】BCGが読む経営の論点 2023 ボストン コンサルティング グループ 著

【本コラム】BCGが読む経営の論点 2023 ボストン コンサルティング グループ 著

BCGが読む経営の論点2023 ボストンコンサルティンググループ 著

1, 782円(税込)

著者紹介

ボストン コンサルティング グループ(BCG)
Boston Consulting Group


ボストン コンサルティング グループ(BCG)は、ビジネスや社会のリーダーとともに戦略課題の解決や成長機会の実現に取り組んでいる。1963年に戦略コンサルティングのパイオニアとして創設され、今日では、クライアントとの緊密な協働を通じてすべてのステークホルダーに利益をもたらすことをめざす変革アプローチにより、組織力の向上、持続的な競争優位性構築、社会への貢献を後押ししている。
グローバルで多様性に富むチームが、産業や経営トピックに関する深い専門知識と、現状を問い直し企業変革を促進するためのさまざまな洞察を基にクライアントを支援している。最先端のマネジメントコンサルティング、テクノロジーとデザイン、デジタルベンチャーなどの機能によりソリューションを提供する。日本では、1966年に世界第2の拠点として東京に、2003年に名古屋、2020年に大阪、京都、2022年には福岡にオフィスを設立。

著書に、「BCG カーボンニュートラル経営戦略 (日本経済新聞出版)」、「BCGの特訓――成長し続ける人材を生む徒弟制 (日本経済新聞出版) 」、「BCG デジタル・パラダイムシフト (日本経済新聞出版) 」がある。


書評

(1)イントロダクション

 皆さんは「筋の良い仮説・商材特有の仮説がなかなか思いつかない」という悩みを抱えたことはないだろうか。どんなお題が出ても「円安」とか「人口減少」といったありきたりな仮説しか思いつかず、面接で低評価をもらってしまう。かといって商材に関するトレンドを調べたとしても、深い洞察を含むコンテンツはなかなか見つからない。本書はこの課題を解決してくれる。産業・テーマごとのトレンドが現役コンサルタントによって深く解説されており、これを読めば筋の良い仮説を出しやすくなる。実際のコンサルタントの思考法も盗めるわけだから、必読と言えるだろう。

 本書評では、まず初めに本の概要を述べ、内容をざっくりイメージして頂いた後、どのようにしてそれをケース・ジョブに活かしていくのかを解説する。

(2)本の概要

 本書は、産業別・テーマ別に

①マクロトレンド

②そのトレンドから生じる市場環境・競争環境の変化

③環境の変化を踏まえて企業が取るべきアクション

の3点が述べられている。

 

 ①マクロトレンド 

 各産業・テーマごとに、大きな変化をもたらしうるトレンドが述べられている。顧客の嗜好変化はもちろん、政府の規制変更や海外の先端企業の取り組みまで幅広く紹介されている。

 

 ②変化 

 上記のトレンドを踏まえ、どのような変化がその業界・分野に生じているのかが述べられている。具体的には、業界のバリューチェーンの構造変化(一部のバリューチェーンが消滅し、一部が新たに誕生するなど)やKSFの変化 など。

 

 ③企業が取るべきアクション 

 上記のトレンドと変化を考えたときに、どういう課題が新たに生じ、その課題にどのように対処するべきか、が詳細に書かれている。

(3)ケース・ジョブでの活かし方

 ①ビジネス知識を蓄えることで、ケース・ジョブにおける視野を広げられる。

 さまざまな産業・テーマの仕組みを知ることで、知識の幅を広げる。ここでの仕組みとは具体的に以下を指す。どのようなサプライチェーンになっているのか?製品・サービスを販売するにあたってどのようなステークホルダーがいるのか?産業を取り巻く規制はどのような内容か?など。

 

 ②商材特有の鋭い仮説を出すことができるようになる。

 1つの産業・テーマについて幅広く、かつ深くトレンドを知ることで、仮説の精度を高める。さらに、仮説を出すまでのスピードを早める。

 

 (i)「トレンドや現状の課題を知っている」故に鋭い仮説を素早く出すことができる。ケースにおいては面接官とのディスカッションで役立ち、ジョブにおいては「同じ班のメンバーよりも早く仮説を出せる」という意味で常に役立つ。 

 

 (ii) ケースもジョブも、そのお題特有の仮説を出すことが求められる(例えば、自動車のケースでは「少子高齢化による客数減少」という仮説は筋が悪い。一方、「EVシフトによるKSFの変化やシェアリングのトレンドによる客数増加」のようなお題特有の仮説は高く評価される)。従って、この本を読んで各業界特有のトレンドを知っておけば筋の良い仮説 が出やすくなるので、面接やジョブで高評価を受ける。

 例)塾業界の場合

 トレンドとして、社会人が学びを自己投資として考えるようになり、学ぶことに意欲的になってきている、ということが本書で挙げられている。

 上記のトレンドを知っていれば、方向性として「新たな顧客セグメントとして、toBによる社会人教育も有効なのではないか?」という仮説が出てくる。

 

 ③BCG独自の分解の仕方を学ぶことができる。

 ありきたりな、どこでも使える論点の分解の仕方ではなく、そのテーマ・問題に特有の分解の仕方を学ぶことができる。

 

 この本を読んでいるかいないかで、選考での立ち回りに大きな差が出ると思われる。BCGに限らず、全コンサルティングファームを受ける方に是非手に取って頂きたい。